わがまま(9日目)

今日は 仕事の終わりが遅く 父の病院に着いたときには
9時半をまわっていて 病室の照明は消されていた
窓際にある ライトだけが灯されていた

「父さん、私だけど 電気つけていい?」・・・『ううん』
今日は 母も姉も帰っていて 私と父の二人きり

左目には眼帯がつけられていて 見える右目が何かを追っている
何となく 怯えているようにも見えて
「父さん、黒いモヤが見えるの?動いてるの?」・・・『うん』
「目、閉じていよ。だんだんとモヤも晴れてくるからさ」

父の動く左手は 誰もいない病室では ベッドに固定されている
『外してくれ』と動作しているから 外してみた
父の左手をぎゅっと 握って「父さん、良くなろうね」
父の左手が私の手を ぎゅっとして 『うん』 涙が溢れてきた

父が自分の左足を 指差しているように見えるけど 何?
左足をさすったら 手を止められた 違うの?
居心地が悪いの?どこか痛いの? ・・・起きたいの?
「・・・ごめん、お父さん。分からなくて、もっと分かるようになるからね」
むむっ、左手がベッドの柵を つかんでる・・・起き上がろうとしてるんだ
「まだ、だめ。呼吸の機械が取れたらできるから。待って」
言うことは全然聞かない 
力任せに 起き上がろうとしてベッドから落ちかけた父
手のひらを広げ 私に向け 『あっちに行け』と言ってるみたい
少し離れてみると むちゃをするから 恐くなってきた
「そろそろ、左手固定していい?私、帰るから」・・・『無視』
とにかく、めちゃくちゃ嫌がる 『あっち行け』攻撃だ
結局、看護師さん呼んで、固定してもらうことになってしまった

「また 明日も来るからね」・・・『うん』
「ぢゃあ、帰るね。おやすみ、お父さん」・・・『無視』
何度も 声をかけるけど おやすみの手を振ってくれない
顔の側まで寄って「帰るよ」・・・小さく『うん』
後ろ髪を引かれる思いで 病室を後にした

これは 父の “わがまま” ではなく “頑張り” だね。
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by cocchiy | 2007-04-06 23:57 | 家族のコト
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