父の定年


とにかく仕事ひとすじの父だった

幼い頃は、どこの家庭も父親はほとんど家にいないものだと思っていた
遊んでもらった記憶は
イナゴとり、ワラビとり、タケノコとり、父が山に行くのに着いて行く
それとスケートに一度連れて行ってもらった
多くはない幼き頃の父との記憶には満足している

父の口から仕事の愚痴など聞いたことなどなかった
父の右手小指の先が黒くて変形している
機械作業で誤って切り落としてしまったのだ
太ももの肉を移植したのだとか
父の作業着はもちろん、靴下までいつも黒く汚れていた
私は父の作業着姿が好きだった

父の働く工場の前を、母の車で通り過ぎる時は
必ず窓を開けて、姉と叫ぶ

「父ちゃ~ん、仕事頑張って~!父ちゃ~ん」

この声は働く父に絶対届いていると信じていた

ほとんど家にいない父を誰も責めたことはなかった
ただの一度も母の口から父への不満を聞いたことはなかった


今日、定年を迎えた父に
今日までの長い年月本当にお疲れ様でした
心を込めてありがとうございました

そして今日まで父を支えた母に
心を込めてありがとうございました

今日は私たち家族にとって特別な日でした


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by cocchiy | 2005-11-21 00:26 | 家族のコト
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